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社用車の車検・点検をドライバー任せにする会社が陥るリスク
営業車や社用車の車検・点検管理を、ドライバー個人に任せきりにしている会社は珍しくありません。「自分の担当車だから自分で把握しているだろう」という前提で運用が回っているケースです。
しかしこの状態は、何事もなければ問題に見えないだけで、実際にはいくつかの重大なリスクを抱えています。
本記事では、車検・点検管理をドライバー任せにすることで会社が陥りやすいリスクを整理し、管理体制を見直すための考え方を解説します。
車検・点検の「ドライバー任せ」とはどういう状態か
ドライバー任せの管理とは、具体的には次のような状態を指します。
・車検の満了日をドライバー本人しか把握していない
・法定点検(3ヶ月点検・6ヶ月点検・12ヶ月点検)の時期を会社として管理していない・日常点検(出発前の目視確認等)を実施しているかどうか確認する仕組みがない
・ドライバーが退職・異動した際に車両情報の引き継ぎができない
台数が少なく、長く勤めているドライバーが担当車を固定で使っている間は問題が表面化しにくいですが、人の入れ替わりや台数増加とともに管理の穴が広がっていきます。
ドライバー任せにすることで起きる具体的なリスク
<車検切れによる法令違反と保険失効>
最も深刻なリスクが、車検切れの状態で公道を走ってしまうケースです。
車検が切れた車両を運転すると、道路運送車両法違反(無車検運行)となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になります。
さらに、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)も車検と同時に更新するケースが多いため、車検切れは自賠責保険の失効にもつながります。
任意保険についても、車検切れの状態では保険会社によって保険金が支払われないケースがあります。万が一事故が起きた場合、会社が損害賠償を全額負担しなければならない事態にもなりかねません。
ドライバー個人が満了日を把握していても、繁忙期や異動のタイミングで更新が後回しになることは実際によく起きています。会社として満了日を一覧で管理し、更新漏れを防ぐ仕組みが必要です。
<法定点検の未実施による整備不良>
道路運送車両法では、使用者に対して定期的な法定点検の実施を義務づけています。乗用車であれば12ヶ月ごとの点検が法定されており、営業車として使う車両も対象です。
点検を未実施のまま放置すると、ブレーキの磨耗やタイヤの劣化、エンジンオイルの劣化といった不具合が蓄積します。これらは日常的な運転では気づきにくい部分であるため、ドライバー本人が「問題ない」と判断していても、実際には整備不良の状態になっていることがあります。
整備不良の車両が事故を起こした場合、使用者である会社の管理責任が問われる可能性があります。点検の実施記録を会社として保管しておくことが、リスク管理の観点から重要です。
<日常点検の形骸化による事故リスクの増大>
道路交通法では、運転者に対して運行前の日常点検を義務づけています。タイヤの空気圧や亀裂の有無、ウォッシャー液の量、ブレーキの効き具合などを出発前に確認することが求められています。
しかし、実際には「毎日やっている」と言いながらほぼ形骸化しているケースが少なくありません。会社として点検実施の記録を求める仕組みがなければ、日常点検は有名無実になりやすいものです。
タイヤのバーストや制動距離の延長による事故は、事前の点検で防げるものが多いとされています。ドライバー任せにしている間は、こうした事故リスクが見えないまま蓄積しています。
<人の入れ替わりで情報がリセットされる>
ドライバーが退職・異動した際に、担当車両の情報が引き継がれないことも大きなリスクです。
「前の担当者が最後に点検したのはいつか分からない」「この車がどこの整備工場に出していたかも不明」という状態は、実際に社用車の台数が多い会社ではよく起きています。引き継ぎができていなければ、新しいドライバーは何もない状態から車両の状態を把握し直す必要があります。
この問題は、車両ごとの情報を個人ではなく会社として記録・管理することで防げます。管理台帳の整備については、社用車の管理台帳の作り方【中小企業向け・すぐ使えるテンプレート】で具体的なフォーマットを紹介しています。
特に注意が必要な「台数が増えたタイミング」
車検・点検の管理が崩れやすいのは、台数が増えたタイミングです。
1〜2台のうちは経営者や総務担当者が直接把握できていても、5台・10台と増えてくると同じやり方では追いつかなくなります。それぞれの車両で車検満了日も法定点検のサイクルも異なるため、頭の中だけで管理しようとすると必ず抜けが生じます。
複数台の管理体制をどう整えるかについては、複数台の社用車・営業車を一括管理する方法とコストの考え方で解説しています。
輸入車を社用車にしている場合は管理の難易度が上がる
社用車に輸入車を使っている会社の場合、管理の難易度はさらに上がります。
輸入車は国産車に比べて対応できる整備工場の数が限られており、部品の取り寄せに時間がかかるケースもあります。点検の周期や使用するオイルの規格なども車種によって異なるため、「とりあえず近くの工場に出せばいい」という管理は通用しにくいです。
輸入車特有の点検・管理の注意点については、輸入車の社用車、国産車よりも点検・管理にコツが必要な理由で詳しくまとめています。
管理体制を整える前にまず確認すること
車検・点検の管理を見直すにあたって、まず自社の現状を把握することが先決です。次の問いに答えられるかどうかを確認してみてください。
・現在保有している全車両の車検満了日を、今すぐ一覧で出せるか
・直近の法定点検をいつ・どこで実施したか、全車両分の記録があるか
・担当ドライバーが急に変わっても、車両情報を引き継げる仕組みがあるか
・日常点検を実施したことを確認できる記録が残っているか
一つでも「すぐには答えられない」という項目があれば、管理体制に見直しの余地があると考えてください。
法定点検や安全運転管理に関わる義務については、安全運転管理者の選任義務とは?中小企業が知らずに違反しているケースも合わせて確認しておくことをおすすめします。
まとめ
社用車・営業車の車検・点検管理をドライバー個人に任せきりにしている状態は、車検切れによる法令違反、整備不良による事故リスク、人の入れ替わりによる情報消失といった複数のリスクを同時に抱えています。
問題が表面化するのはトラブルが起きてからです。今のうちに管理体制を整えておくことが、会社を守ることにつながります。

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